パリその2

 東駅に着き外へ出るとさっきまで居たカルチェラタンとはずいぶん雰囲気が違う。なんとなく空気が違っているのだ。 雑然とした街の中 覚えたばかりの通りの名前を頭の中で繰り返しながら歩き始める。
と、なんだか妙な事に気づく。 駅を出た時私の少し前を歩いていたアラブ系の小柄な男性が、少し離れながらも相変わらず同じ道を歩いているではないか。しかも私が通り名を確認するため立ち止まっている時には知らん振りをしながらもこちらの様子を伺っているのが分かる。 日本人観光客だということで、引ったくりの標的にされていることを確実に感じ、ショルダーバッグをしっかり抱えわざと通りの反対側へ移動する。しばらく行くと奴も渡ってくる。なるべく刺激しないほうが良いと思い歩調をやや速めつつも、走り出すようなことはしないほうが良いと判断。
誰か歩いて同じ方向へ向かう人を探していると、横のアパートから女の子と母親らしき女性が連れ立って出てきた。これ幸いとぴったり後ろを付いて歩く。
しかし途中私が曲がるべき道で彼女たちは別の方へ・・・仕方なく私も彼女たちと同じ道を歩く。 どうやら奴もあきらめたらしくひょいとビルの中へ、しかし何度も私のほうを振り返り振り返り惜しそうに入って行く。暫らく様子を見ていたがそれ以上付いて来る事はなさそうなので、親子連れとは別れて目的地へ方向を変えることに。

 美術館では、年代を追って作品が陳列されていて、今までとは違う印象の作品も数々見ることが出来、来る道すがらは怖かったけれど、来た事を後悔する事はなかった。

 さすがに帰りは周りを用心深く確認してから表へ出た。
そのままメトロに乗り、ギャラリーラファイエットでパン、ワイン、チーズ、フルーツなどを買い込みホテルへ戻る。 チーズがとっても安い、日本の3分の1程度。ぜーんぶ持って帰りたーい!! その分押し寿司5貫で20ユーロもするのには驚きのあまり、「タッカー!」と声を出してしまいました。

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